2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

とりあえずデータです

総選挙の、比例の得票の全国合計です。 ○民主 29,844,729 42.4% ○自民 18,810,217 26.7% ○公明 8,054,007 11.4% ○共産 4,943,886 7.0% ○社民 3,006,160 4.3% ○みんな 3,005,199 4.3% ○国民 1,219,767 1.7% ○日本 528,171 0.8% ○幸福 459,450 0.7% ○大地 433,…

レベルをたもつ

横尾弘一さんの『都市対抗野球に明日はあるか』(ダイヤモンド社)です。 ふっと、目に留まったので、急いで読んでみたのですが、中のエピソードで、考えたことが少し。 東京地区のある企業チームが、野球部をつぶすことになったとき、かつての名門チーム(…

これも戦後

永井荷風『秋の女』(河出文庫、1955年、文庫編集オリジナル)です。 荷風の戦後の短編をあつめたもので、スケッチ風の小品が主です。 石川淳は荷風が亡くなったとき、「敗荷落日」という文章を書いて、戦後の荷風はただの老人だという趣旨のことを言いまし…

切り口

天野正子・桜井厚『「モノと女」の戦後史』(平凡社ライブラリー、2003年、親本は1992年)と、天野正子・石谷二郎『モノと男の戦後史』(吉川弘文館、2008年)です。 これにあわせて、〈こども〉とで三部作らしいのですが、とりあえず2冊を。 大きなテーマで…

スケールの大きさ

森まゆみさんの『女三人のシベリア鉄道』(集英社)です。 『すばる』連載中にも、ロシアの現状を書いた部分を取り上げた記憶もありますが、改めて通して読んでみました。 与謝野晶子、中条百合子、林芙美子の三人を軸にしているのですが、それと森さん自身…

プロセス

渡辺和靖さんの『保田與重郎研究』(ぺりかん社、2004年)です。 保田の、初期の作品を分析して、彼の思考がどのように先人のものを受け継いでいるのかということを論証しています。 保田は、奈良県の桜井市に生まれ、県立畝傍中学から大阪高校に進んだので…

節操

中野重治の、没後30年の命日だそうです。 中野の出処進退に関しては、いろいろと意見もあるでしょうが、『甲乙丙丁』のなかで、主人公は、自分が中央委員なのに、党大会で議決権のない評議員として出席したことを、屈辱のように感じています。 これは変な話…

先入観

今日は、島崎藤村の命日だそうです。没後66年ということですね。 藤村といえば、中学のころに『破戒』を読んだのですが、私の育った環境では、そういう社会は近くになかったので、あまり切実には感じられませんでした。 高校のころに、中村光夫の『風俗小説…

類似

この前書いた、『気骨の判決』のドラマの中で、翼賛選挙を推進する側の言い分として、『個人が国家に対して何ができるかを考え、推薦候補に投票しよう』というのがありました。いわゆるケネディ演説をちょっと思い出してしまいました。ケネディと東条英機を…

バランスをとる

中公文庫で、昨年から『世界の歴史』のシリーズが出ています。1990年代半ばからハードカバーで刊行されたものを文庫化して、最新のあとがきをつけるというのが、今回の基本のようです。いちおう、高校で世界史を習ったくらいの人を読者として想定しているよ…

長いものに

昨日、NHK総合で放映された、翼賛選挙に関するドラマを観ました。 『昭和史の瞬間』(朝日新聞社、1966年)をみると、ドラマでは裁判長は実名ですが、それ以外の、ドラマで仮名になっていた人たちが、どのように推薦候補を押し付けていたかが書かれています。…

平静さ

8月15日というわけで、宮脇俊三さんの『時刻表昭和史』(角川選書、1980年)です。宮脇さんの思い出を、列車によせた作品で、その最終場面が玉音放送の後、平常通りに列車が走っていたというところなのです。 こういう形での思い出は貴重なものだと、昔読んだ…

裏返し

ポール・ラファルグ『怠ける権利』(田淵晋也訳、平凡社ライブラリー、2008年、親本は1972年)です。 もともとは、1880年に発表された表題論文に、似たような発想の文章をあわせたものです。ラファルグは、マルクスの娘婿にあたるフランスの革命家なのですが…

深読み

井波律子さんの『中国の五大小説』(岩波新書、全2冊)です。 『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』の五つの作品についての考察なのですが、内容の概説書としても、たぶん知らない人でも、わかりやすい入門になっているように見えます。…

兵糧攻めふたたび

『ロスジェネ』のイベント、多くの方が参加されたそうです。 少し、続きということでもないのですが。絵を描かれる方には、こういう言い方はよくないのかもしれませんが、絵や彫刻は、ほとんどの場合、その1点が存在するもののように思います。ですから、そ…

兵糧攻め

『ロスジェネ』でイベントがあるそうで、浅尾大輔さんのブログで案内をみました。 資本主義における文学・芸術のありかたについては、いろいろな議論がありえると思います。たしか、宮本百合子が最初の執筆禁止をくらったときに、宮本顕治は手紙で、こういう…

真実はあらわれる

田村泰次郎(1911-1983)『肉体の悪魔・失われた男』(講談社文芸文庫、2006年、文庫編集オリジナル)です。 作者の戦場体験をモチーフにした作品で、〈純文学〉に分類できそうな作品を集めています。最近、尾西康充さんが田村に関する研究をされているとい…

変化をたどる

小松英雄さんの『いろはうた』(講談社学術文庫、親本は1979年)です。 〈いろは〉や〈あめつち〉、〈たゐに〉のような、かなをならべたものを材料にして、日本語の変化を考えています。〈お〉と〈を〉との関係は、同じ音価でアクセントのちがいだと考えられ…

礼節

本屋で、『太陽のない街』(金曜日)を発見しました。 徳永直の著作権は昨年末で切れているので、どこがどのように出そうが、誰が解説を書こうがそれはどうでもいい(彼の作品は公共のものですから)のですが、平井玄さんの解説を読んでいて、どうかなと思う…

何でもかんでも

山田和夫さんの『ロシア・ソビエト映画史』(キネマ旬報社、1996年)です。 ロシアに最初に映画撮影部隊がはいったのが、1895年のニコライ2世の戴冠式なのだそうですが、そこから100年のあゆみを、ソ連解体というできごとをふまえて、客観的に叙述しています…

力の源泉

三田村雅子さんの『記憶の中の源氏物語』(新潮社、2008年)です。 源氏物語が、その後の世代にどのように利用されてきたのかを、実証的にさぐっています。 源氏物語が、歴代のみかどや院、皇子たちなどによって、自分たちの立場を強化するとか、みずからを…

細心さ

島崎嗣生さんの『愛と平和の文学教育』(本の泉社、増補版)です。 著者は都内の私立校で英語を教えていらっしゃるのですが、その中でチャップリンの映画を材料にして、英語の学習の中での実践記録などが収められています。 また、大学時代専攻したドイツ文…