2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

格差の承認

宜野座菜央見さんの『モダン・ライフと戦争』(吉川弘文館、2013年)です。 1930年代の日本映画を材料にして、当時の社会が映画にどのように反映しているのかをさぐります。ですから、内容の批評というより、そこにあらわれる当時の格差社会の実像をみている…

逆効果

一部ネット上の報道なので、真偽のほどは定かではないのですが、一部韓国紙が、ソメイヨシノは済州島原産だといっているとか。 ソメイが東京の巣鴨、染井の地名から出ているように、江戸時代に品種改良で生み出された一代雑種であることは周知の事実だと思っ…

あてはめる

水谷千秋さんの『継体天皇と朝鮮半島の謎』(文春新書、2013年)です。 継体天皇の出自を、近江国に求め、そこにある古墳の被葬者を系譜にてらしあわせながら考えていく方法をとっています。著者は文献史学のひとですから、考古学の成果を借用するというかた…

まだまだあるのに

石黒米治郎さんが亡くなられたそうです。 戦後、労働組合運動が活発になったときに、組合が文化サークルをつくることがよくありました。その中には文学のサークルもあり、そこで生まれた書き手が、新日本文学会などに参加して、文学運動の担い手になることも…

残し方

高瀬毅さんの『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』(文春文庫、2013年、親本は2009年)です。 被爆遺跡になる可能性のあった浦上天主堂が、どういうことで再建のみちをすすんだか、その結果遺構が失われてしまったいきさつを追ったものです。 長崎の…

基本から

太田秀さんの『くすりの常識』(国民文庫、1979年、文庫書き下ろし)です。 当時、国民文庫は、《現代の教養》シリーズとして、こうした啓蒙的な本を出していました。新書にしないで、既存のブランドである国民文庫をつかったのでしょう。 医薬品とはどうい…