2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

備忘のために

ずっとむかし、古田武彦の『失われた九州王朝』(朝日新聞社、1973年)を読みました。そのなかに、「『隋書』(『北史』もですが)のなかに、〈倭国は東西五月行、南北三月行〉という趣旨の記述があり、(古田は隋書は倭国ではなくタイ国だといっていますが…

今だから

村上春樹さんの『職業としての小説家』(スイッチ・パブリッシング、2015年)です。 著者の作品に向かう態度や作品をつくるときの構え、そこからはじまって、作家としての世間への向き合い方など、村上春樹はこうして作家として立って行ったのだと思わせます…

集めてみる

講談社文芸文庫『明治深刻悲惨小説集』です。 有名どころでは、樋口一葉の「にごりえ」とか、泉鏡花の「夜行巡査」とかもありますし、文庫などに初収録ではないかという田山花袋「断流」など、1890年代後半の格差や貧困、差別にまつわる作品を集めています。…

平準化

小林信彦さんの『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』(文藝春秋、1978年)です。 雑誌『クロワッサン』に連載された小説で、若妻が夫とともに食をめぐるいろいろなトラブルにまきこまれながら危機を打開していくという娯楽小説です。食をめぐるうんちく的なところが…

ひとりあるき

桜井忠温『肉弾』(中公文庫、親本は1906年)です。 日露戦争の時、作者は旅順を攻めた第3軍に所属していたのですが、最初の総攻撃で負傷し後送されました。上陸以来の経験を書いたものがこの作品で、後送されるまでのことが書かれています。 火野葦平の「土…