2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

にわとりとたまご

中沢弘基さんの『生命誕生』(講談社現代新書)です。 生命の起源を、地球外に求めるのではなく、地球が放熱しているところから生まれる、必然的なものだというところに、中沢さんの説があります。 説の当否そのものは、これからの実験や試料分析によって明…

ニュートラル

鳥羽耕史さんの『1950年代 「記録」の時代』(河出ブックス、2010年)です。 1950年代に各地でおこなわれたサークル運動や、反基地闘争、松川裁判やダム建設のルポや絵画、映画などの文化メディアの様相を、研究者として探ったものです。 鳥羽さんは、雑誌『…

きのうきょうあす

NHKスペシャルの、過去の東京の映像をカラー化したものを紹介する番組がありました。20世紀前半から1960年代までのいろいろな白黒映像を、いろいろなデータをもとにして着色して、当時の状況を考えるというもので、以前は第一次大戦から二次大戦までのヨーロ…

保存可能

岩崎昶『映画の前説』(合同出版、1981年)です。 著者が、東京小石川図書館で1966年から76年までの10年間続けておこなっていた、〈優秀映画を観る会〉の、上映に先立つ説明を文章化したものです。著者は、この本の刊行準備中に逝去したので、結果的に遺著と…

ヤヌス

平野啓一郎さんの『顔のない裸体たち』(新潮文庫、2008年、親本は2006年)です。 ネット上の投稿サイトに、性行為の画像を流していた男と、その対象になっていた女性を主人公にして(男女ともに公務員という設定です)、人間の姿とは何かを問いかけた作品で…

押しつけ

都丸泰助『地方自治制度史論』(新日本出版社、1982年)です。 明治以降の地方制度の変遷を記述しているので、時代時代の制度がどのようなものであったのかを、みることができます。 基本的に、明治憲法の時代と、日本国憲法の時代との、地方自治の考え方の…

これもまた

佐伯一麦さんの『とりどりの円を描く』(日本経済新聞出版社)です。 この前紹介したものは生活に密着したエッセイでしたが、こんどは『河北新報』などに掲載された、本に関するエッセイを集めています。時期的には『杜の日記帖』と重なるものが多いので、似…

日々のいとなみ

佐伯一麦さんの『杜の日記帖』(プレスアート、2010年)です。 この版元は仙台の出版社で、ここが出している雑誌に掲載されたエッセイをまとめたもののようです。新書判ですが、著者撮影のカラー写真などもあって、けっこうぜいたくな造りです。 地震の前で…

またも

津上忠さんが亡くなられました。 いろいろな場面を知っている生き証人ともいうべき方々が、次々と鬼籍に入られます。 そのうえで、いまを紡いでいかなければなりません。