2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

リアリズムのこと

なんか難しそうなタイトルですが、『百合子を読む会』というのが、若い人を中心に行われていて、そういう人たちとの交流もあるので、できるだけ参加させてもらっています。 今は、『十二年の手紙』(新日本文庫)を読んでいるのですが、毎回最初の1時間ほど…

今月の裏時評

今月の時評も掲載されたので、そこに書ききれなかったことを。 実は、楽しみにしていたのが筒井康隆の著作権侵害問題の経過だったのです。先月号の「巨船ベラス・レトラス」で、作者自身が登場して、北宋社の著作権侵害問題について、とうとうと語っていたの…

女性文学の再考

田中貴子の「日本ファザコン文学史」(紀伊国屋書店)を読みました。この人は、中世日本文学の専門家なのですが、一般向けにもおもしろい視点でのものを書いています。この本では、中世の女性による文学作品をれいにとりながら、女性を縛る「父」的なものに…

小春日和としての昭和17年

変なタイトルだと思う人もいらっしゃるでしょうが、『戦争の時代と社会』(青木書店)という論文集を読みました。日露戦争100年を期して、千葉大でおこなわれたシンポジウムをベースにしてできた本だそうです。 その中の、『総力戦下の都市「大衆」社会』…

福田和也

福田和也と磯崎新の対談『空間の行間』(筑摩書房)を読みました。建築作品とそれに相応する文芸作品とを並べて語るという趣向の本で、たとえば厳島神社と平家物語とか、安土城とフロイスの日本史とか、という並べなのです。こうした取り合わせのおもしろさ…

『東京学生文学』のころ

古本屋で買った、アブデルマレクの本2冊を読みました。原著では1冊のものを、「民族と革命」「社会の弁証法」の2冊にして、1977年に岩波書店から出したものです。 著者はエジプトの人で、パリで主に活躍していたようです。翻訳したのも、熊田亨さんという…

旧中国と西洋

『現代中国文学』のことの続きです。 李劼人(り・かつじん、1891-1962)の作品に1冊があてられています。清朝末期の四川省を舞台にした作品で、三部作のうち最初の二つ「死水微瀾」「暴風雨前」というタイトルがそれぞれついています。これはいかにも中国…

中国らしくない文学

変なタイトルですが、『現代中国文学』のシリーズの話です。 魯迅が日本に留学して医学を学んでいたことは有名ですが、他にも日本に縁のある文学者はいます。このシリーズのなかでは、郭沫若と郁達夫が該当します。郭沫若に関しては、澤地久枝さんの『昭和史…

『智取威虎山』のこと

前回の続きですが、曲波の『林海雪原』は、第2次大戦が終結したあとの、解放戦争の時代の東北地方を舞台にした作品です。ここでは、解放軍のたたかう相手は、「匪賊」と呼ばれる暴力集団です。かれらは、偽満州国時代は、日本側と適当に取引をして生き延び…

『現代中国文学』のこと

インターネットの古本屋をよく利用する。全国がカバーされているので、直接店頭でみることのできないものでも、けっこうほどよい値段で手に入れられる。 そういう形で、1970年ころに河出書房新社から出ていた、『現代中国文学』のシリーズを全巻(12冊…

アレルギーの店

うちの下のこどもは、アレルギーの体質がある。毎年一度は医者に血液検査をしてもらっているのだが、Igeというアレルギーの数値が、通常の500倍くらいある。 そのために、食べられるものが限られる。肉類は牛と鶏がだめ、魚類は青・赤がだめ、野菜は油の…