2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

感覚の冴え

西野辰吉『米系日人』(みすず書房、1954年)です。著者の最初の作品集らしく、1950年代初頭に書かれた作品が収められています。 この時期は、朝鮮戦争が行われているなかで、講和条約が結ばれ、日本がいちおうの〈独立をはたした〉時期です。けれども、アメ…

ためこみ

『文化のいま、これから』(新日本出版社、1991年)です。音楽や映画、美術や文学の当時の状況や、企業の文化への出資(メセナと呼ばれていたとか)に関する、科学的社会主義の立場からの分析です。 バブル景気のころですから、いまからみると、結構意外なこ…

つながる重さ

林屋辰三郎『町衆』(中公文庫、1990年、親本は1964年)です。 著者には岩波新書に『京都』という著書があり、そこでは上古から近代までの京都のあゆみを述べているのですが、この本では、中世から近世初期までの、〈平安京〉ではなく、〈京都〉になっていく…

訃報をきく

ナディン・ゴーディマさん、死去の報を聞きました。南アフリカのアパルトヘイトの実情を描く作品が印象に残ります。

名を変える

加藤則夫『たにぜんの文学』(ウインかもがわ、2012年)と『谷善と呼ばれた人』(新日本出版社)です。 戦前は労働運動からプロレタリア文学の世界で活躍し、戦後は長く代議士として京都の革新陣営の中心にあった谷口善太郎(1899‐1974)について書かれたも…

やがて悲しき

飯沢匡『多すぎた札束』(新日本出版社、1981年)です。 作者の〈政治喜劇三部作〉ということで、ロッキード事件に想を得て書き始め、青年劇場が演じた作品が収められています。 〈棚岡格兵衛〉だとか、〈木石甚助〉だとか、実在の政治家をほうふつとさせる…

対決

『ホト河でのたたかい』(李英儒著、石川賢作訳、新日本出版社、1964年、原著は1951年)です。 1942年の河北省における日本軍に対しての八路軍と地元住民の戦闘を描いた作品です。 日本軍が、太平洋地域まで戦争を広げたとき、中国戦線でなにが行われたのか…