2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

交錯

山崎一穎さんの『森鴎外 国家と作家の狭間で』(新日本出版社、2012年)と、加藤悌三さんの『石川啄木論』(新樹社、1986年)です。 作家と宮仕えとを両立させた鴎外と、生活者としてはどうかと思う啄木とは、ある意味対照的な存在なのかもしれません。にも…

クリスマスケーキ

新雅史さんの『「東洋の魔女」論』(イースト新書)です。 日紡貝塚チームがオリンピックで金メダルをとるまでの経過を軸に、紡績工場における企業スポーツが、レクリエーションからスポーツへと変貌していく過程を追っています。 貝塚工場では、選手たちも…

断章

『新解マルクスの言葉』ですが、けっこうおもしろく読めました。浅尾さんが小説家だったことが、こういうときには幸いしたのでしょう。評論家ならば、どうしても引用した文章が、マルクス全体の中で、どのような位置にあるのかを語らずにはいられなくなるの…

方向

玄侑宗久さんの『光の山』(新潮社)です。 ここに収められた作品には、「あぶないといわれているフクシマのどこかよりも放射線量の高い地域は西日本にもある」という玄侑さんの日頃の主張が反映しています。 CTスキャンを一回浴びたときの放射線量が高いの…

地道に

尾西康充さんの『小林多喜二の思想と文学』(大月書店)です。 どちらかといえば、地味な論文を集めているのですが、「不在地主」のモデルになった土地では、今は必ずしも作品に描かれたような階級的なたたかいとは思われてなかったことを論証したり、多喜二…

こんなところにも

早乙女勝元さんの『私の東京平和散歩』(新日本出版社)です。 東京下町を中心に、戦争の惨禍をつたえるさまざまな遺跡遺構などをさぐったエッセイです。『東京新聞』に連載されたものに手を加えたのだそうです。 東京は1944年から45年にかけて、大規模な空…

すっきり

池井戸潤さんの〈半沢直樹〉ものの、3作品を読んでみたのですが、3つめの『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社、2012年)になると、少し飽きてきました。ここででてくる〈ロスジェネ世代〉といっても、証券会社の第一線で働いているのですから、かつて浅尾…

時代遅れ

仕事の都合で、エクセルやワードの2010年版を導入しつつあるのですが、エクセルのセルの塗りつぶしの仕様が、2003年までの版とまるっきりちがっているので、実は戸惑っています。2003年版で、塗りつぶしのポイントを右クリックすると選択できる色が、2010年…

不親切

浅尾大輔さんの『新解マルクスの言葉』(バジリコ)を入手しました。 内容については今後としますが、体裁のことを少し。マルクスのことばを取り上げ、それに浅尾さんが1ページでコメントをつけるという形の本です。ですから、その取り上げたことばが、どこ…

同時進行

エレンブルグ『パリ陥落』(工藤精一郎訳、新潮文庫全3冊、1961年)です。 むかしの文庫本は不親切で、原本がいつ刊行されたかという基本的なことが書かれていないのですが、西洋の作品に多い文末の執筆年月によれば、1940年の8月から1941年の7月までの執筆…

生活のなか

NHKブックスから1980年ごろに出ていた『歴史の町なみ』のシリーズ全5冊です。 北海道から沖縄まで、当時あった歴史的な景観の町について、各地の保存修景計画研究会のかたがたが、現状と保存のための提言とをまとめています。 この時期には、まだ古い生活の…

虚におく

「あまちゃん」のこの2日間について、少し。 大地震が起きて、アキたちのコンサートは中止になり、映画も公開打ち切り、そういうなかで、鉄道は少しずつ運転を再開するという流れになります。 もちろん、かつての朝ドラが、戦争の時代を乗り越える主人公たち…

適応

暑さなどが「異常」のレベルだということです。 これだけ列島が暑くなると、それまでの気候風土に基盤をおく文化が、変わっていくのではないかと思います。現に、サンマの南下が遅れているということらしいので、それだけ食べ物の旬も変わることが考えられま…