2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

構想

二葉亭全集の〈評論・感想〉の巻です。 「茶筅髪」は未発表の原稿だとこの前書きましたが、二葉亭はこの作品の構想を文字にして語っているのですね。「未亡人と人道問題」という談話筆記でしょうか、『女学世界』という雑誌に載ったようです。 そこでは、主…

設定変え

二葉亭全集から『平凡』です。1907年に新聞連載され、翌年単行本になったようです。 この作品は、一時期小説家として名を売った39歳の主人公が、自分の半生を反省したという設定です。志を抱いて上京したはずの主人公が、住みこんだ伯父の家で書生として使わ…

信仰

二葉亭全集から「茶筅髪」です。 没後発見された未完の稿本なのですが、日露戦争で夫を亡くした女性の再生を描こうとしたもののようです。夫を亡くした女性のもとに、学校時代の友人が訪れます。彼女は幼子を育てようとする主人公に共感し、夫にはたらきかけ…

模索

岩波版の新書判『二葉亭四迷全集』(全9巻、1964年から65年)がそろいで手に入ったので、ひさしぶりに「浮雲」を読んでみました。リストラされてひきこもる、という文三の姿は、決して全面肯定されているわけではないという、最近の動向も踏まえたうえでのこ…

6年おき

今年のノーベル賞は、ベラルーシの女性作家だそうです。ロシア語圏からの受賞者は、ブロツキー以来ですから、ひょっとするとソ連崩壊以降はじめてかもしれません。 今年も村上春樹受賞を願って、あちこちでイベントがあったようですが、村上さんの是非はおい…

たたきこむ

大江志乃夫『国民教育と軍隊』(新日本出版社、1974年)です。 明治期の学校教育と社会教育に関して、いかに軍が関与し、兵隊になることを所与のものとして社会全体に受け入れさせるのかを考えていたか、ということを、原典の史料にさかのぼって追求した論考…