2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

運がいいだけ

アレクシエーヴィチ『チェルノブイリの祈り』(松本妙子訳、岩波現代文庫、2011年、親本は1998年、原著は1997年)です。 今年のノーベル賞を受賞した方で、この本のような当事者からの聞き書きを主な活動の場としています。チェルノブイリから10年という月日…

亡くなる方ばかり

北の湖理事長が亡くなったし、原節子さんも逝去。今月の『相撲』誌は決算号にもかかわらず、優勝した日馬富士ではなく、北の湖の土俵入りを表紙にもってきました。ある意味、モンゴル勢に対しての、読者の意見を暗示したものなのかもしれません。 原節子さん…

何でもあり

平岡昭利さんの『アホウドリを追った日本人』(岩波新書)です。 19世紀末から20世紀はじめにかけて、太平洋上の島でアホウドリを捕まえて大儲けをした人たちの姿を描いたドキュメントです。アホウドリは捕獲が簡単で、人間を恐れなかったので、大量に捕…

ちょっと見ると

そういえば、古田武彦さんが亡くなっていたのですね。 『「邪馬台国」はなかった』(朝日新聞社、1971年)を読んだのはずいぶんとむかしのことで、論理の展開におもしろさを感じたことは事実です。そのあとの、『失われた九州王朝』(朝日新聞社、1973年)も…

さかのぼる

『氾勝之書』(岡島秀夫、志田容子訳、農文協、1986年)です。 もともとの本は、前漢末の人、氾勝之の書いたとされる農書の『氾勝之書』を、『斉民要術』などに引用される佚文から復元して、石声漢という方が1958年に原文と英語訳とを刊行したものを、翻訳し…

結末

二葉亭全集から。「くち葉集」と名づけられた雑記帳です。「浮雲」の構想メモがはいっていることで有名でもあり、この全集でも、そこだけカラー写真で復刻されています。(もちろん、活字での翻刻もあります) 現在の「浮雲」のあと、文三がますます居場所を…

虚を実に

辻田真佐憲さんの『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)です。 20世紀の歴史を振り返って、権力による宣伝がどのようになされていったのかを、いろいろな国の例をあげています。新書という立場ですから、わかりやすいものが選ばれていて、現在の北朝鮮…