2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

わからなくはない

高井有一さんの『この国の空』(新潮文庫、2015年、親本は1983年)です。 1945年の初夏から8月上旬までの東京杉並区を舞台に、若い女性の生き方を描いた作品です。 1925年の丑年生まれの主人公は母親と二人暮らし、父親は中国との全面戦争が始まる前に病気で…

隠させない

川村湊さんの『戦争の谺』(白水社、2015年)です。 戦後のいろいろな事象を分析して、表にでたものと、その陰に隠れているものをあぶりだそうとしています。ヒロシマ・ナガサキをはじめとして、戦争の時代やそれをめぐる言説をみつけだしていきます。 戦争…

本音

山中恒さんの『「靖国神社」問答』(小学館文庫、2015年、親本は2003年)です。 靖国がどのようにしてつくられ、どうやって人びとを神社にまつられるのを名誉と思うようになり、現在まで影響を及ぼしているのかを、わかりやすく記述しています。山中さんも、…

それはどうだか

今度の選挙で比例区から地方区に転出するタレント議員さんが、パーティーをひらいて、そのかたが世に出るきっかけとなった学園ドラマで教師役をやった芸能人の方が呼ばれてスピーチをしたそうです。その方は、その議員さんについて、〈変な発言はしそうにな…

どんどん忘れる

相原茂さんの『雨がホワホワ』(現代書館、2001年)です。 中国語をめぐるエッセイをあつめたものです。表題の文章は、中国からの学生がバイト先で雨が降ってきた時に、中国語の擬態語を使って表現したというところのものだそうです。 学生時代は第2外国語を…

激動の経過

文京洙さんの『新・韓国現代史』(岩波新書、2015年)です。 解放以後70年の韓国の動きを、最近の情勢まで視野に入れてコンパクトにまとめています。日本との関係でも、時代によって変化があるわけですが、そこにも目配りはされています。 ただ、文化という…