2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

虚構の力

有吉佐和子『和宮様御留』(講談社文庫、1981年、親本は1978年)です。 江戸に下った和宮が替え玉ではないかという話は昔からささやかれていたのでしょうが、それを、大きく広げたのがこの作品でしょう。和宮の伯父にあたる公家の家に奉公していた無筆の少女…

集めた時代

『世界文学全集 月報合本』(筑摩書房、1970年)です。 この合本も含めて全70冊になる世界文学全集で、1966年から70年にかけて刊行されました。筑摩は、同時期にやはり全70冊になる日本文学全集も刊行しています。 当時の『世界文学』ですから、中国やアラビ…

発想

山本紀夫さんの『トウガラシの世界史』(中公新書)です。 トウガラシが、南アメリカから地球を一周して広まっていったようすをたどる、時間と空間の広がったものです。各国でのトウガラシ事情がわかって、その幅広さに驚きます。 さて、ここでするのはそう…

あわや

『新潮』の12月号は、手塚治虫の未発表イラストを売りにしています。なぜ『芸術新潮』じゃないのかとは思いますが、そのおかげで、売れ行きもいいのでしょうか。いつも買う本屋では品切れで、2軒目でも最後の1冊でした。 手塚作品には、アポロの歌(だっけ)…