2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

上と下

麻田雅文さんの『シベリア出兵』(中公新書、2016年)です。 一般向けの新書ですから、概説となるのは仕方のないことだとは思いますし、現段階で出てきている史料をうまく使って、全体像をつかませることには成功していると思います。 ただ、実際に出兵した…

意表をついて

地方紙に連載されていた谷村志穂さんの「風は西から」が完結しました。(新聞によってはまだ連載中のところもあるかもしれませんが) 最初は、若い男女が出てきて、男は家業の居酒屋を継ぐための修業として、とりあえず大手居酒屋チェーンで正社員としてはた…

それでも続いている

関川夏央さんの『退屈な迷宮』(新潮社、1992年)です。 著者が南北朝鮮を訪れていろいろと感じたことを記録したもので、1980年代末の朝鮮半島の状況がよくみえます。この時代からすでに北朝鮮はすさまじい状況下にあったことはわかるのですが、当時の東欧の…

秩序まで

松沢裕作さんの『自由民権運動』(岩波新書、2016年)です。 戦争のあとには、それまでの社会秩序がこわれ、新しい社会のありようが希求される、戊辰戦争のあとにおきた、新しい社会を求める動きがいわゆる自由民権なのだという意識で、当時の運動にかかわっ…

ちょっとの瑕疵

川村湊さんの『村上春樹はノーベル賞をとれるのか?』(光文社新書、2016年)です。 著者は、毎年のように、ノーベル賞の季節になると、村上春樹がとるのではないかというメディアの期待のために、テレビ局に待機することがあるのだそうですが、そうした経験…