2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

すみわけ

ナディン・ゴーディマ『ジャンプ』(柳沢由実子訳、岩波文庫、2014年、親本は1994年、原本は1991年)です。 親本は、ゴーディマ作品の翻訳としては早い方らしく、当時の解説が文庫本に採録されているのですが、ほとんど訳がなかったむねが書かれています。 …

時差

大林宣彦監督の「廃市」(1984年)をケーブルテレビで観ました。原作は1959年に書かれた福永武彦の同名小説で、ほぼ原作通りの展開になっています。原作では、語り手が10年前のできごとを回想するという形ですから、直接作品発表とあてはめると、1950年ごろ…

線引き

有吉佐和子『日本の島々、昔と今。』(岩波文庫、2009年、親本は1981年)です。著者が1979年から80年にかけて、日本の端っこに近いさまざまな島を訪問して、その地域の実情をたずねたルポルタージュです。岩波文庫にしては、めずらしく解説などの文章がまっ…

広がり

寺田透『無名の内面』(河出書房新社、1976年)です。 著者は、花田清輝が『新日本文学』の編集長だったころ、編集委員をつとめていたようです。その期間だけ、臨時に新日本文学会の会員にもなっていたというらしいです。その時期のことを書いたエッセイがこ…

定着

川西玲子さんの『戦前外地の高校野球』(彩流社、2014年)です。 著者の父親が、天津商業で甲子園に出た経験をお持ちだったとかで、それが当時の植民地における中等野球に関心をもったはじめだったようです。今年日本でも公開されている「KANO」という、台湾…