先入観

今日は、島崎藤村の命日だそうです。没後66年ということですね。
藤村といえば、中学のころに『破戒』を読んだのですが、私の育った環境では、そういう社会は近くになかったので、あまり切実には感じられませんでした。
高校のころに、中村光夫の『風俗小説論』(新潮文庫、1969年)で、『破戒』から『春』への藤村の方向性が否定されているのを読みました。同じ頃、『鴎外全集』第24巻(岩波書店、1973年)のなかの、匿名合評「雲中語」のなかで、藤村の「うたたね」という作品の、設定の不自然さが徹底的に暴露されているのを読みました。
そんなこんなで、藤村の作品に、じっくりとむかいあったことは意外にないようです。そろそろ、再検討しなければいけないでしょうね。