2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

同じ場所で

金子兜太さんが亡くなられました。何年か前に、文団連だったかの集会でお話をされたのをうかがったことがありますが、その時はあの『……許さない』の揮毫をされた直後だったかと思います。 金子さんは戦時中に兵士としてトラック島に駐屯して、孤立させられる…

なぜ誰も

カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』(小野寺健訳、ハヤカワ文庫、2001年、原作は1982年)です。 イギリスに住む日本人女性が、最初の夫との子を宿して長崎に住んでいたころを回想するというできごとを軸とした物語で、のちのイシグロの作品を予想させる、人…

真剣度

オリンピックの入場行進、ハングルの順番だそうです。2008年の北京でも漢字の順番だったわけですから、2020年には、五十音順にしなければ、やる人たちが、ほんとうに自国の文化や伝統、言語を大切に思っているのかどうかがわかりますね。口先だけで、「この…

底に流れる

『近代社会主義文学集』(角川書店『日本近代文学大系』内、1971年)です。 このシリーズは、近代文学に注釈をつけるという、なかなかおもしろい取り組みをしたもので、いまは明治や大正時代の作品には、文庫本では注がつくものが多くなっている先駆にあたる…