2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

体系づくり

小野忠重『版画の魅力』(新日本選書、1971年)です。 古今東西の版画を紹介する(図版も多数はいっています)、美術史の入門的なものになっています。 この『新日本選書』のシリーズは、1970年代にけっこう出版されていて、今でも勉強になりそうなテーマの…

きっかけ

『中村真一郎 青春日記』(水声社、2012年)を、ぽつりぽつりと進めています。 著者が中学5年生のときから、高校3年のあたりまで、時期的には1934年から1937年ごろまでのものです。著者の父の死のころからの記述というべきなのでしょう。 当時の中学から高校…

直視

集英社の『コレクション戦争と文学』の第12巻です。この本には、解説者の言によれば、 1.戦場での殺戮、戦時性暴力をめぐる軍隊体験者の作品 2.戦時におきた生体解剖実験、大量殺戮にかかわる作品 3.戦時のカニバリズム(食人)をとらえた作品 4.戦…

自負心

出処進退についていろいろと考えていたのですが、ふと、中野重治の「むらぎも」に連想がはしりました。 中野の描く主人公は、何かしらの「我」をもっています。「佐野の無礼は許せても……」だとか、「甲乙丙丁」における田村や津田のこだわりにしても。 「む…

見通す

二宮厚美さんの『新自由主義からの脱出』(新日本出版社、2012年)です。 一年ほど前、まだ野田政権のころに出されたものですが、新自由主義のシステムが民主党政権を崩壊に導くプロセスを論じたり、橋下徹という人物がはたす役割を考えたりと、その後の動向…

それどころでは

きょうは、沖縄県の施政権返還の日だったはずですが、沖縄の海兵隊に女性を斡旋しようとする政党党首の発言のために、めちゃくちゃになってしまったようです。与党首脳は、沖縄の切り離しの日を、天皇まで呼んで『お祝い』しましたし。 そんなだから、中国か…

言い続ける

西田勝さんの『近代は否定できるか』(オリジン出版センター、1993年)です。 西田さんは小田切秀雄とながく法政大学に勤め、季刊『文学的立場』をときたま刊行するなど、近代文学の研究かたわら、社会的な発言もしています。この本では、1980年代のあたりの…

どぶ板

上田七加子さんの『道ひとすじ』(中央公論新社、2012年)です。 上田さんは、不破哲三さんの妻です。学生時代に一つ年下の不破さんと知り合ってから現在まで、不破さんと生きる道をともにたたかってきています。 その回想記を、『婦人公論』誌に掲載したも…

しかけのしかけ

辻原登さんに、「枯葉の中の青い炎」という作品があります。集英社の『コレクション戦争と文学 帝国日本と台湾・南方』(2012年)に収録されています。 1955年9月4日、京都西京極球場で行なわれたプロ野球パ・リーグ、大映スターズとトンボユニオンズの試合…

補加

浦西和彦さんが編纂した『徳永直』(人物書誌大系のうち、日外アソシエーツ、1982年)は、徳永直の著作目録があって、重宝しているのですが、やはり、まだまだ不充分な点はあるようです。 最近発見したものを、ここに記録しておきます。 1935年10月号の『文…