2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

旧態依然

岩瀬昇さんの『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』(文春新書)です。 満洲というよりも、戦前の陸海軍が石油に関してどういう方針をもっていた(というよりも無策だった)ことを書こうとしたものです。あまり文章がこなれていないという印象は…

いやなことを思い出す

このところの九州の地震の動きをみていると、小松左京の『日本沈没』(光文社、1973年)のなかで、列島沈没の最後のひきがねとなったのが、中央構造線沿いに地震が連続して起きていったことだったことなど、連想してしまいました。あの作品の時には、まだ原…

限界の自覚

今日は斎藤緑雨の命日だそうです。1990年代に緑雨の全集が筑摩書房から出たときに思ったのですが、かれの小説は、当時の社会が、女性の自立を求めていなかったというところからくる女性の苦しさを、主観的には描こうとしていたように見えます。女性が職業を…

つぶしたのはだれ

魚柄仁之助さんの『食べ方上手だった日本人』(岩波現代文庫、2015年、親本は2008年)です。 1930年代の料理に関する文献をさぐり、当時の食生活のなかの知恵や工夫を考えるものです。当時の食品保存法や、都会におけるガスの普及が料理のあり方を変えていっ…

娯楽なのに

馬場マコトさんの『従軍歌謡慰問団』(白水社、2012年)です。アジア太平洋戦争のときの、大衆音楽家たちの行動を、デビューにさかのぼって昭和初期から物語風に描いたものです。戦争へと傾斜する時代に、流行歌に託したひとびとの思いが、いざ戦争となった…