2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

寿命

昨日の続きですが、調べると、けっこう100歳に近いかたもいらっしゃいます。(以下すべて数え年) 土屋文明101歳、栗栖継・宮本顕治100歳、湯浅芳子98歳、伊藤信吉・大島博光97歳、里見とん・住井すゑ・大橋喜一96歳、荒畑寒村・佐多稲子・富士川英郎95歳と…

性差

『馬』さんからのコメントが先行しましたが、安岡章太郎さんが亡くなられました。数えで94歳だそうです。 長生きした男性文学者というと、(年齢は数えのほうが計算しやすいので以下すべて数え年です)102歳の丹羽文雄、96歳の井伏鱒二、94歳の北条元一、91…

感性

『abさんご』ですが、聞くところによれば、初版8000部だったとか。コアな文芸誌読者は約2000弱いるでしょうから、その人たちは、初出誌を入手しそこねたら買う可能性の高い人でしょうから、その分は計算にいれてもよかったのではないかと思います。 ところで…

たちまち重版

今回の芥川賞受賞作をおさめた黒田夏子さんの『abさんご』(文藝春秋)が出ました。 少し書店に寄らないでいたら、もう第2刷が出ています。いつもだったら、受賞作は大手商業文芸誌に掲載されているので、初出誌で読めるのですが、今回は『早稲田文学』まで…

砂上の楼閣

上田誠吉『昭和裁判史論』(大月書店、1983年)です。 治安維持法とその運用に関して、自由法曹団の弁護士たちがいかにたたかったかを中心にして、法を運用する側の恣意的な対応に関しても論じた論集です。 三・一五と四・一六事件の被告たちは、統一された…

きわめる

日本思想大系の『近世芸道論』(西山松之助ほか校注、1972年)をちまちま進めています。とりあえず、茶・花・香の部分を終わって、その段についての解説(西山執筆)もみているのですが、江戸時代の身分制度を「破る」ものとしての「芸道」という視点が重要…

おとぎばなし

今年のセンター試験、牧野信一の「地球儀」という作品でした。 祖父の17回忌で郷里に戻った主人公ですが、母や叔父からは厄介者扱いをされています。本来主役をつとめるはずの父親は、放蕩の末に家をでていて、法事にももどりません。主人公はそれでも、父代…

脱皮

エイゼンシュテイン『メキシコ万歳!』(中本信幸訳、現代企画室、1986年)です。 1930年、エイゼンシュテインはアメリカに渡ったのですが、ハリウッドでドライサーの『アメリカの悲劇』を映画化しようという計画がだめになり、彼はメキシコを舞台にした映画…

研鑽

水上勉『一休・正三・白隠』(ちくま学芸文庫、2011年、親本は1987年)です。 うちの墓があるお寺は臨済宗なので、なにか行事のときには、〈白隠禅師座禅和賛〉をみんなで唱えます。事情があってお寺からは遠方に住んでいるので、お寺に行くのは春夏秋冬一度…

合流

孫文『三民主義』(安藤彦太郎訳、岩波文庫、全2冊、1957年)です。 もともとは、1924年に孫文が行なった連続講義がもとになっています。その意味では、最晩年(孫文が亡くなったのは1925年です)の思考でもあり、いわゆる第1次国共合作の時期のものであるの…

評価

『前衛』2月号に、武居利史さんの「よみがえる一九五〇年代の前衛芸術と社会運動」という論考が載っています。武居さんは、美術運動の研究をされている方で、この論考も、当時の砂川闘争と美術家とのかかわりを中心に、当時の日本美術会のひとたちの動向も関…

分析

小林よしのり、中森明夫、宇野常寛、濱野智史の4氏による討論本『AKB48白熱論争』(幻冬舎新書、2012年)です。 今年で還暦の小林さんと、新人類世代の旗手といわれた中森さん、それと若手、30代の宇野・濱野のおふたりと、けっこうバラエティーに富んだ顔ぶ…

晦渋

保田與重郎『日本の文学史』(新学社、2000年、親本は1972年)です。 年末に香取神宮と鹿島神宮に行ったときに読み始めたのですが、時間がかかりすぎました。 香取と鹿島は、天孫降臨の前の国譲りのときに、出雲に降り立った二柱の神様をまつった社で、どち…

見聞きしたこと

ベアテ・シロタ・ゴードンさんが、昨年末に亡くなられたということです。 ベアテさんは、幼い頃からしばらく日本に住んでいたことがあり、そこで、日本社会の現実をよく見ていたのでしょう。戦後、占領軍の仕事として、憲法草案を起草するとき、そのときの認…

区切り

今年になって、柳田国男や室生犀星の著作権が切れたそうです。今年で没後50年になる方は、大田洋子や久保田万太郎、山之口貘などのようです。 TPPに参加すると、著作権保護期間も延長になる可能性がきわめて高いということなので、そういう点からも、問題点…