2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

猫も杓子も

ちょっと怒られそうなタイトルですが、『図書』4月号に、金文京さんが「福沢諭吉の漢詩」という文章を書いています。自分の父親の亡くなった年齢を超えたあたりから、福沢は漢詩をたくさんつくっているというのです。明治のひとびとにとっては、漢学の素養と…

練習

笠原十九司さんの『海軍の日中戦争』(平凡社、2015年)です。 日中戦争のときに、海軍の航空隊は重慶をはじめ、中国の各所を空爆し、迎撃した中国軍機と空中戦もおこないました。零式戦闘機も、中国を最初の活動場所にしていたのです。著者は、戦争の過程を…

戦いはこれから

結局、『三侠五義』最後まで読みました。最後は、ラスボスとでもいうべき襄陽王との戦いに英雄たちが集結して最後のたたかいに臨む、というそれこそ少年ジャンプの打ち切り作品的な終わり方をしています。つまり、どこで作品が終わっても、それなりに完結感…

場面集

鳥居久靖訳『三侠五義』(中国古典文学大系、1970年)を、ぼちぼちと読んでいます。 というのは、この話、講談をつなぎあわせたようなもので、それぞれのエピソードが、ゆるやかにつながっているという形式になっています。それだけならば、『儒林外史』も似…

整合性

どこかの記事で見たのですが、首相は〈ロボットが答弁にたってくれればありがたい〉という趣旨の発言をしたとか。 筒井康隆さんに、ロボット記者が政治家の発言の非論理性に堪えられず爆発してしまうという作品があったのを思い出してしまいしたが、首相の答…

頭一つ

野呂邦暢『失われた兵士たち』(文春学藝ライブラリー、2015年、親本は1977年)です。 もともとは自衛隊の社内報的な雑誌に連載されたものだというのですが、有名無名の人物の手になる戦争を記録した文章を取り上げ、そこに見える日本軍のありよう、そこから…