レベルをたもつ

横尾弘一さんの『都市対抗野球に明日はあるか』(ダイヤモンド社)です。
ふっと、目に留まったので、急いで読んでみたのですが、中のエピソードで、考えたことが少し。
東京地区のある企業チームが、野球部をつぶすことになったとき、かつての名門チーム(都市対抗で優勝したこともあるところです)で、いまは休部中のある会社が、チームごと引き取ってもいいということになりかけたのだそうです(実際に引き取った例はあって、リースキン広島が伯和ビクトリーズになりました)。ところが、その引き取ろうといった会社の、取引銀行からストップがかかり、その話はダメになったのだというのです。会社そのものより、バックの金融資本の問題なのですね。きっと、ほかにも、そうした圧力で、休部や廃部に追い込まれた会社もあったのでしょう。
と、考えていたら、宮寺清一さんに、「虹」という小説(『祭り囃子が聞こえる』(新日本出版社、1983年)所収)があったことを思い出しました。卓球の話なのですが、スポーツで企業に貢献している選手が、職場の現状をみるなかで、労働者としても成長したいと考えて、技能検定を受検しようというストーリーです。会社の仕事と、スポーツの技能とを、どのように位置づけるのかという問題は、もっと考えられなければならないのかもしれません。そう簡単に、ヨーロッパではクラブチームがさかんだというだけでは片づかないとも思います。