何でもかんでも

山田和夫さんの『ロシア・ソビエト映画史』(キネマ旬報社、1996年)です。
ロシアに最初に映画撮影部隊がはいったのが、1895年のニコライ2世戴冠式なのだそうですが、そこから100年のあゆみを、ソ連解体というできごとをふまえて、客観的に叙述しています。
エイゼンシュテインに対するスターリンの圧迫は、この前、テレビ番組をとりあげたときに書きましたが、ことはエイゼンシュテインだけでなく、ほかの人びとにも、当時のソビエト体制が圧力をかけていたこともわかります。
それはフルシチョフからブレジネフ時代にも、基本的には続いていたというので、ペレストロイカソ連解体という流れの中で、ロシア革命以後が全否定されるような方向もうまれているそうです。それが、帝政時代の肯定的な面の過剰な押し出しとなると、日本での、戦前賞賛論と似通っているようで、もう少し冷静にみなければいけないのではないかと考えてしまいます。(10年経った今は、少しは落ちついているといいのですが)

岩波文庫でも、『動物農場』に続いて、『真昼の暗黒』を刊行するようで、そういうことが、逆な一面化を生むのは困ります。