2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ちょっと意外

岩波文庫創刊90年ということで、『図書』の臨時増刊で、各界の人が選んだ「私の三冊」という特集がされています。 いろいろとなるほどとおもうところもあるのですが、あってもいいのに誰も選ばなかった三点を選んでみましょう。 『北越雪譜』(鈴木牧之) こ…

当事者

有吉佐和子『海暗』(文藝春秋、1968年)です。 1964年、伊豆諸島の御蔵島に米軍の射爆場が本土から移転するかもしれないという計画がでて、島に防衛庁の調査がはいったが、結局は不適とされたという事件を背景に、島に生きる80歳の老婆とその周辺の人たちの…

大義名分

呉座勇一さんの『応仁の乱』(中公新書、2016年)です。京都を巻き込んだ乱の推移を、興福寺の中枢にいたひとの残した文書を使いながら読み解いてゆくという、史料を使った叙述の手堅さが感じられます。もともとは畠山家のお家騒動にほかの大名が加担したと…

しみこむ

高野邦夫さんの『軍隊教育と国民教育』(つなん出版、2010年)です。 陸海軍の学校ではどんな教育がされていたのかを、実証的にとらえようとしたものです。軍隊の存在が、日常のものとして社会にうけいれられていた時代に、どういう形で軍人として〈成長〉さ…