2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

既知と未知

福田和也さんの『乃木希典』(文春文庫、2007年、親本は2004年)です。 福田さんの人物評伝は、1960年生まれという年齢からいって、ちょうど『坂の上の雲』の単行本が完結した時代に小学生から中学生になるやならずという、いろいろな近代史や戦記ものが出た…

直前

川喜田愛郎『医学概論』(ちくま学芸文庫、2012年、親本は1982年)です。 大学生向けの教科書という体裁ですから、医学とは何かを、初歩から解説しているという点では、医学生以外にもけっこうおもしろく読めるのではないでしょうか。 そこでは、医学が現実…

鼻血

『美味しんぼ』ばかりが騒がれていますが、たしか山本おさむさんの『今日もいい天気』で、飼い犬のコタが鼻血を出していたのではなかったでしょうか。

試されるのは

橋川文三『昭和維新試論』(講談社学術文庫、2013年、親本は1984年、初出は1970年から73年)です。 19世紀末からの日本の国家主義的思想の流れを追ったもので、中断がなければ、敗戦までいったのではないかと思うのですが、結果的には1920年代のおわりごろま…

意識過剰

矢澤高太郎さんの『天皇陵』(中公選書、2012年)です。 現在の天皇陵古墳のあてはめをめぐる問題点をあげ、さらにはそうした当局の姿勢だけでなく、学界の現状に対しても、今のままではかりに発掘が可能になってもよいことはないので、もっと日本社会全体が…

地の利

須賀田省一さんの『野田の文学・野田争議』(野田文学会)です。 野田争議というのは、1928年にあった、千葉県野田のキッコーマン醤油の会社で起きた大争議で、当時は浜松の日本楽器と並んで話題になったものだそうです。 この争議について書かれた文章を探…