2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

こりない

『奈良世界遺産と住民運動』(新日本出版社、2000年)です。 1998年の奈良の文化遺産が世界遺産に認定されたことをうけて、その原動力の一部を担った、住民による遺跡保存の運動の歴史と現状について触れています。1960年代の近鉄の車庫づくり計画のころから…

ねらいが変わる

加藤佳一さんの『つばめマークのバスが行く』(交通新聞社新書)です。 国鉄バスからJRバスへの移り行きを、コンパクトにたどったものです。 かつては鉄道が走れない部分をつなぐ役割をもっていた国鉄バスも、分割民営化以後は、高速道路網の発達によって…

システムの構築

曲亭馬琴『近世物之本江戸作者部類』(徳田武校注、岩波文庫)です。 馬琴が生前公刊せず、筆者で近しい人たちに流布させたというもので、当時の文学史ともいうべき本です。草双紙の起源から洒落本、滑稽本、読本と、作者の略歴を紹介しながら、山東京伝や自…

記憶の底

開高健『輝ける闇』(新潮社、1968年)です。 ヴェトナム戦争に取材した作品で、当時の南ヴェトナムに行った作者と等身大とおぼしき主人公の目から、戦争の実態をみつめます。 主人公は1930年生まれで、中学3年のときに終戦を迎えます。ですから、当時は30歳…

信じて走る

『闇があるから光がある』(学習の友社)です。 今年の各地でおこなわれた、小林多喜二を記念するつどいでの、諸氏の講演を文字にしたものです。いずれも、今の社会情勢を読み解きながら、多喜二の文学を語っていくという姿勢が、共通するものとしてみえてき…

川にたとえる

なかむらみのるさんの『信濃川』(光陽出版社)です。 新潟県を舞台にして、ひとりの日本共産党員を主人公にすえて、その歩みを描いています。 主人公は、兄を満蒙開拓団で失い、母親とともに戦後の時代を生きぬきます。そして、その中で、共産党に入り、専…