福田和也

福田和也磯崎新の対談『空間の行間』(筑摩書房)を読みました。建築作品とそれに相応する文芸作品とを並べて語るという趣向の本で、たとえば厳島神社平家物語とか、安土城フロイスの日本史とか、という並べなのです。こうした取り合わせのおもしろさ(三輪神社と保田與重郎という取り合わせもなかなか妙ですから)で、けっこう読ませる本ですし、日本文化の過去の蓄積についても考えるヒントになるようです。なかなか古典についてふれる機会はそうないので、こうした日記を利用していきたいと思います。
福田和也は私と同い年なんですが、彼は都心の国立大学の付属小学校に通っていたようです。三島由紀夫についてふれた中で、当時三島の息子が同じ小学校の二つ下にいたといいます。実は、その平岡某くんは、私の中学校の後輩に当たるのです。もちろん、面識はないですし、相手のほうも私のことは知らないでしょうが。
あのころは、私は地方の普通の小学生だったから、三島の事件についても、まったく記憶がありません。翌日、隣の家の同学年の子が、「三島って45歳だったんだって」と話してくれたときも、何の話なのかわからなかったくらいですから。(でも、その会話は今でも覚えているのも不思議なものです)福田のように、都心の学校に通っているような人とは何か違うのかもしれません。彼は、その教養をどう使うのかということにもなるのでしょう。そこが、同じ時代に育ったものとして、気にするところなのです。