『現代中国文学』のこと

インターネットの古本屋をよく利用する。全国がカバーされているので、直接店頭でみることのできないものでも、けっこうほどよい値段で手に入れられる。
そういう形で、1970年ころに河出書房新社から出ていた、『現代中国文学』のシリーズを全巻(12冊)そろえることができた。
文化大革命時代のまっただなかなので、よくこういう選択をすることができたと思うようなラインアップである。
1巻の魯迅・2巻の茅盾・3巻の郭沫若というあたりは妥当な線だと思うのだが、異彩を放つのはそのあとの選択なのだ。当時追放状態だった丁玲の「太陽は桑乾河を照らす」が入っていたり、『紅岩』が選ばれていたり、〈革命京劇〉の代表といわれた「智取威虎山」の原作である『林海雪原』がはいるなど、この形でしか読めないものも多い。
 個々の作品の評価はともかく、そうした大胆な編集をしたところに、このシリーズの面白さがあるのだ。(そのうちいろいろと感想などを書いていきます)