自虐といわれて

エンツェンスベルガー『何よりだめなドイツ』(晶文社、1967年、原本は1967年)です。
当時のドイツの中の現状に対して物申すエッセイ集なのですが、その中に、ラス・カサスの「インディアスの破壊に関する簡潔な報告」についての解説があります。それによると、ラス・カサスがこの本を出してから、スペインでは攻撃が激しく、先住民の犠牲者の数がいい加減だとか、さまざまな批判にさらされたというのです。
けれども、いまになれば、そうした攻撃が道理のないものだということは明らかなのですから、そういう目でいろいろと想定されるものもあるのではないかとも思います。
とはいっても、一時的にそうした攻撃をする人たちが力を持つということもあるのだとは、腹をすえなければならないのかもしれません。