パッシンク

「馬」さんのコメントにも書かれたようですが、大野晋さんが逝去されました。
大野さんといえば、日本語とタミル語との系統関係を主張したことで、一時期ジャーナリズムから無視されるような状態にもあったのですが、そこを通過して、自説を体系化していったことは、考えてみると、すごいことだったのだと思います。
風説のたぐいなので、あえて取り上げることでもないのですが、大野さんが東大に残らずに学習院に行った事情についてのゴシップをずっと昔に耳に挟んだこともあったのですが、大野さんの『源氏物語』に関しての考察(中公文庫での丸谷才一さんとの対談『光る源氏の物語』が大きなものですね)とか、本居宣長の再婚事情をさぐって、そこに彼の感受性をみた「語学と文学の間」とか(これは高校のとき、初出の『図書』で読んでとても刺激をうけたものです)をみると、人間理解の深さを感じてしまったものです。