草庵にしばらく居ては

『歌仙の愉しみ』(大岡信岡野弘彦丸谷才一岩波新書)です。
最近は、こうした連句の興行も、すっかりと定着したような感じがあります。以前、柳瀬尚紀さんの本を紹介したときに、回文のタイトルをつけましたが、そのとき「連句」ということばをつかったら、それをキーワードにして、大津留さんという方が、連句を試みているブログに遭遇しました。
いくつかの句を投稿したのですが、そのときは、半歌仙でおわってしまいました。
歌仙は、そのものよりも、その過程をふりかえる座談のほうがおもしろいので、ここでも、三人がいろいろとおもかげの説明などしながら、世界を作っているのが興味をひきます。
考えてみれば、石川淳の『前賢余韻』(1975年、岩波書店)に収められた、「北京独吟」を読んだのが高校のときで、それで歌仙という形式にひかれて、東明雅さんの『連句入門』(中公新書)を買ったものです。
実際には、こうしたものをつくるにも、俳諧の志がなければうまくいかないもので、学生時代に、雑誌をつくっていたときに、島村輝さんなどと歌仙を試みたことがありましたが、そのときも、前句とつきすぎないようにと考えすぎて、遣句やら逃句やらを乱発したような記憶があります。ひょっとしたら、島村さんの手元に当時のノートがまだ残っているのかもしれません。