議論の白熱

黒田俊雄さんの『歴史学の再生』(校倉書房、1983年)です。
網野善彦さんのおかげで、中世の歴史に関しては、一般書の分野でいろいろと読みやすいものが生まれているのですが、黒田さんの本は、岩波新書の『寺社勢力』くらいしか一般書がないので、このエッセイ(小論文)集は黒田さんの歴史観を知るのにいい著作だと思います。
網野さんの非人論を批判したものだとか、歴史学のありかたについての問題提起とか、当時たぶん話題になったのだと思うのですが、こうした白熱する議論が、認識を深めていくのだと思います。
網野・石井・黒田・永原と中世史の人たちももう世代交代しているわけですから、今後そうした啓蒙的なものを書いてくれる人は誰なのかという期待もあります。