紙一重

河合恒生・所康弘さんの『チャベス革命入門』(澤田出版、2006年)です。
しんぶん赤旗』に新藤さんの書評が載ったので、そのあと追いみたいになってしまうかもしれませんが、ともかく。
ベネズエラのたたかいが最近注目されています。反対勢力のクーデターを逆に打ち破ることができたこと、ひとつひとつのふしめごとに投票で多数の支持を得てきたこと、そうしたことは学ぶべきものがあるのだと思いますし、その現状を理解するには役に立つ本だといえるでしょう。
けれども、こうした表現には違和感も感じます。ベネズエラ新自由主義に対して大規模な暴動がおきたことを紹介したあとで、こういう記述があります。「このことは、ベネズエラ国民と日本国民の腐敗・堕落の程度の決定的な違いを示している」(8ページ)
著者の言いたかったことはわからないでもないのですし、社会の変革を希求する著者の思いが、日本の現状へのいらだちとなっているのもわかります。けれども、それをこうした表現であらわされると、それは少し言いすぎではないかという思いはあります。そういわれて奮起するひとばかりではないような気もする、というと、著者はきっとそれも「腐敗・堕落」のあらわれだというのかもしれません。学ぶことと、思い込むこととは違いますよね。

近くで梅の花が咲き始めました。まだ旧暦では12月だというのに。