視野

網野善彦鶴見俊輔対談、『歴史の話』(朝日新聞社、1994年)です。
二人の話題の豊富なことは、言うまでもないことですが、いろいろと示唆に富む話もあります。日本の植民地支配は、どこにいっても稲作と神社がついてまわったことなど、やはりきちんとおさえておかなくてはいけないことでしょう。台湾支配はましだった説に対しても、神社押しつけは決していいことではないということができるのですから。
網野さんの文章が世間的にも注目されたのは、1970年代の後半からだと思いますが、75年版の『岩波講座日本歴史』のなかの論文から、中世都市論がふくらんできたことを考えると、75年講座は、ほかの人の論考も含めて、一度きちんと考えるべき論点を多く提出していたように思えます。