伏字

1923年の大正関東地震のときの芥川についてもう少し。
芥川と菊池寛とが話をしていて、いろいろな混乱は●●●●のせいだという話があると芥川が振ったところ、菊池は一言に『嘘だ』とはねつけたというのです。芥川は町内の自警団の一員としてかりだされていたので、そうした流言にけっこう身近に接していたのでしょう。
この●●●●(岩波版の最新の全集でも伏字のままです)が、何を意味しているのかは明白ですけれど、そうした心情を作り出してきた(支配者の側に分断して支配するという意図があったことはあきらかですが)ことの複雑さもかんじます。『日朝関係史を考える』(歴史学研究会編、青木書店、1989年)は、1988年におこなわれた連続講座のきろくなのですが、その中にも、江戸時代の通信使にしても、民衆レベルで『唐人』という、ある種の〈異人〉としてみるまなざしがあったことが紹介されていて、そうした接触の複雑さについても、考えさせられます。

自宅も職場も、ヤフーの地図でみると、どういう事情なのか、計画停電のエリアからはずれているようです。単にありがたいといっていいのか、複雑な感じですね。