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網野善彦『蒙古襲来』(小学館文庫、2001年、親本は1974年)です。
網野さんといえば、1990年代あたりは一般向け歴史書の分野ではいわばひっぱりだこともいえる状況があったように思います。この本は、そうした流れの先駆的なものとも位置づけられるでしょう。もともとは、巻数ものの1冊で、いわゆる鎌倉時代をあつかったわけですが、非農業民のありようを、一般向けにわかりやすく述べたところが、人気の一因でもあったのでしょう。
たしか、中央公論の昔の『日本の歴史』のシリーズでは、黒田俊雄さんが「蒙古襲来」をタイトルとして鎌倉時代を記述したのですが、そのあたりから、中世論がいろいろと取りざたされるようになったのでしょう。
網野さんのいうことすべてを認めるかどうかは別ですが、入門書として読むにはいいのではないでしょうか。