共同体

勝山俊介さんの戯曲集2冊、『回転軸』(1972年)、『風の檻』(1983年、いずれも新日本出版社)です。
勝山さんは「回転軸」という戯曲で、日本共産党創立45周年の文芸作品に入選された方で、ほかにも本名の西沢舜一の名であらわした評論『文学と現代イデオロギー』(1975年、新日本出版社)で、多喜二・百合子賞も受賞されました。
この、2冊の戯曲集は、勝山さんの戯曲を計8編収録したものです。いずれも上演されたもので、そのときの簡単な記録も本に書かれています。これらの作品は、いずれも権力や資本の支配とたたかう人びとが登場します。時代や条件によってたたかいかたはちがいますが、いろいろな形で、人びとのつながりをつくり、そしたたたかっていく姿が、そこにあります。そこには、漁場を埋め立ててセメント工場をつくろうとする資本と行政が一体になって推進しようとする動きに、漁民たちが老若男女を問わず連帯してたたかう、地域の共同体の姿を描いた「風成の海碧く」のような、前近代からの共同体が、たたかいをささえる柱の一つになっているようなものもあります。
ひとびとの共同と連帯をどうするか、まだまだ過去の作品から学ぶことは多いようです。