方向性

『すばる』8月号から少し。
雨宮処凛さんが、「ユニオン・キリギリス」を新連載です。小説の形で、現代を書こうというかたちのようで、ひきこもり系の人たちの集まりからはじまります。
柴田元幸さんが、ボストンの大学で講義した内容が、「鑑か檻か」というタイトルで載っています。サブタイトルが、〈アメリカ文学は日本でどう読まれてきたか〉です。『民主文学』の村山淳彦さんのエッセイとくらべると、アメリカ文学の多様性もみえてくる。両者はみごとに重なっていません。

柴田さんの話を聞いた人の質問の中に、日本では、カラマーゾフ蟹工船が売れていることの意味を聞くものがありました。外国でどういう本が読まれているかに関心をもつということは、日本の大学ではあまりありそうにありません。それだけ、アメリカの人たちの中には、そうしたことに敏感な人もいるのですね。