後追い

サリンジャーさんが亡くなったとかききました。
キャッチャー・イン・ザ・ライ』(村上春樹訳、白水社、2003年)と、それがらみの『サリンジャー戦記』(柴田元幸との共著、文春新書、2003年)程度のことしか知らないのですが、〈ライ麦〉をよんだとき、主人公のような少年は、今の首都圏近郊にざらにいるのではないかと感じたものです。親はある意味、一代で自分を作り上げてきたから、子どもに自分並みを期待する。しかし、実際には、子どもはその期待に応えるには、力が足りない。そうした少年の鬱屈は、たしかに共感を呼ぶものでもあるでしょう。
アメリカで起こっていることは、何十年かしてから、日本でも起こりうる〉ということを、聞いたことがありますが、この作品は、そうしたものとしても、読まれるかもしれません。