突き抜ける

『文藝』秋号は、小川洋子さんの特集です。
対談があって、小川さんと、ハダカデバネズミの研究で有名になった岡ノ谷一夫さんが語っています。岡ノ谷さんは、動物の『ことば』のありようを研究されているので、ハダカデバネズミは、その過程でのひとつの材料なのでしょうが、その中の話題から。
ジュウシマツは、オスがメスに求愛するために鳴く(歌う)のですが、ある程度になると、自分ひとりのときしか歌わない個体が出てくるのだそうです。他の個体に聞かせるのが目的ではないというのですね。
自分でエサをとれないヒナが、大声で『泣く』というのは、ヒトの特異なところだそうです。天敵がいないからできるのだということらしいのです。小川さんも岡ノ谷さんも、そこから話題を発展させていないのですが、ついつい、戦時中の沖縄や満洲でのことを想像してしまいました。