節操と選択

静岡県知事に当選された方は、安倍内閣で教育関係の重要な任務をされていた方だとか。そういう方に声をかける民主党民主党ですし、それに乗って出馬されるほうも、どういうことだか。
粟屋憲太郎さんの『昭和の政党』(岩波現代文庫)を前に読んでいたとき、当時の『政権交代可能な二大政党』が、相手をひきずりおろすには手段を選ばなかったことが印象に残っています。とくに、浜口内閣のときに野にくだった政友会が、攻撃材料としたのが、ロンドン軍縮会議。このときの決定事項が、「統帥権」を侵したという攻撃をしたのです。
統帥権」とは、明治憲法で規定された、軍隊は直接天皇が指揮を執るというシステムです。それを、軍の編制のレベルまで、独立したものだとすることは、議会や内閣が予算などをとおして軍をコントロールする(もちろん、明治憲法の法体系のうえですから、最初から限界がありますが)ことを否定することにつながります。軍が独走しても、最高指揮官の天皇の許可が得られれば、それでよし、ということになるのです。
政党政治を否定するような論理を、政党が主張して、与党を攻撃するという、変な事態がおきてしまったのです。浜口内閣の政策が正しかったかはおいておいて、攻撃の手法はこれでよかったとはいいがたいのです。

今の民主党の中にも、今までの与党がある程度たもっていた、〈長期政権なるが故のある種の良識〉すら否定する人がいるのは、いうまでもありません。たしか、東京都の養護学校性教育を攻撃したのも、民主党の都議だったと記憶しています。