母と子

原武史さんの『「昭和天皇実録」を読む』(岩波新書)です。
先年『群像』に連載していた「皇后考」でも、貞明皇后昭和天皇との関係がけっこう重視されていたという記憶がありますが、この本でも、昭和天皇にとって、母親との葛藤がそうとう複雑なものだったという見方がされています。神功皇后が正式に歴代から削られ、長慶天皇が歴代に加えられたのが、大正末期、のちの昭和天皇摂政だったときで、その決定の背後に、ここできめておかないと、大正天皇崩御ののち、皇后が即位するということも考えられたからだというのも、さもありなんとも思ってしまいます。このへんは議論になりそうなところですが。
香淳皇后も、お嫁さんに対してけっこうな態度をとったこともあったとか。どんな家でも、そうした騒動はおきるのですね。