人材の配置

飛鳥井雅道さんの『明治大帝』(ちくまライブラリー、1989年)です。
鴎外のあとこの本になったのはなかば偶然ですが、乃木将軍と鴎外だとか、少し関連のあることもでてきました。
で、乃木将軍ですが、軍事行動の指導者としてはまったくの無能であったということが、いろいろな面で描かれています。そのかわりに、彼にはイデオロギー面での貢献が期待されていたというのです。学習院の院長として昭和天皇の養育にあたったことは知られているでしょうが、そういう仕事が彼の日露戦争後の本務であったので、国民に軍の影響を強める役割をはたしていたというのです。そういう役目をする人間も、時には必要だということでしょう。

明治天皇も、大正天皇も、同世代の男子は1人しかいなかったようです。それだけ昔のお公家さんふうの子育ては、うまくいかなっかたというのも、いまの状況を考えると、示唆するものがあるでしょう。こうした歴史も、知っておくべきことかもしれません。