入り口から

旺文社の入試問題集からです。

「日本で日本語を勉強しているスミス君がこういいました。『〈スミスは背が高すぎて、この部屋には、はいれない〉とは言えるのに、〈この本棚は大きすぎて、この部屋には、はいれない〉とはいえませんね。どうしてですか』これに対するこたえをつくりなさい」(原文どおりではありませんが)


こういう答えになるのでしょう。「『はいれる』というのは、可能動詞だから、生き物(意思をもつもの)が主体にならなければ使えないんですよ。だから、本棚はだめなんです」

これで解決すればいいのですが。

ここからは、ねこぱんだオリジナルな展開ですが、スミス君、グラウンドの水道のところに行ってこういいます。「ここに、『この水は飲めません』とありますよね。これはどうなんですか」

さあ、どう答えますか。
















「本棚」と「はいれる」との関係は、本棚が主体だといえるのですが、「水」と「飲める」の関係は、水が主体ではありませんね。水は客体(目的語)にあたるので、主体は隠された〈この蛇口を使う人〉なわけです。〈は〉が日本語で格助詞ではなく係助詞に分類されるのも、そのためです。ちょっとした切り口なのですが、考えさせられてしまいました。