杓子定規

旺文社は、毎年大学入試問題集を出版しています。今年も、私立大学編が出たので、なんとなくながめていたら、中村稔さんの文章を題材にしている大学がありました。どこかは忘れてしまいましたが、そこには、こんなことが書かれていました。

中村さんが、安東次男さんの刊本未収録の俳句を、遺族の方の了解を得て集めていたら、けっこうな数になったそうです。そこで、とりあえず刊行しようと出版社に相談したら、『ISBNコードをつけないと図書館は受け入れませんがどうしますか』と聞かれて、結局コードは付与しないと決めたということなのです。

中村さんは、その体験を叙述したあとで、最近はネットの検索にかからない事物は存在しないと思われているのかと、最近の状況を慨嘆するのですが、たしかに、コードをつけないと不利なことは事実でしょう。実際、『講座 プロレタリア文学』も、光陽出版社に一定の金額を払ってコードを付与して、流通に載せたという経緯もありますから、それは大切なことでしょう。まえに、ここで紹介した、三菱長崎のたたかいの記録も、コードはついていました。
実際、ISBNコードをつけるのは、そうむずかしくはないはずです。日本図書コード管理センターのような組織があって、そこに問い合わせれば、一定の条件をみたし、それなりの金額を払えば、コードは簡単につけられます。ですから、詩人会議も、民主文学の弘前支部も、条件をみたすことは簡単ではないのでしょうか。
そのへんのところは、今後いろいろと考えるべきものがあるように思えます。
ところで、ここによくコメントをくださる〈馬〉さんのところはいかがでしょうか。