言いがかりなんだけど

集英社の〈コレクション 戦争×文学〉のシリーズの刊行が開始されました。
前にも紹介しましたが、けっこう視野の広い編集をしていて、完結すればおもしろいものになるかもしれません。

さて、今の書籍には、ISBNコードがついています。これは、1980年代の初頭から徐々に導入されたもので、国際的に番号が付与されます。とはいっても、それぞれの出版社ごとに、与えられた何桁かのコードの利用法は任されているので、会社ごとにけっこう個性が出ているような感じがします。
実は日本では、1960年代後半から、日本国内独自の図書流通コードがもいちられていました。そのため、ISBNコードに切り替える際に、そのとき使用していた流通コードを、そのまま転用する出版社、一定の法則で転用した出版社、今までのコードとは無関係に新しく付与しなおした出版社と、3つのタイプにわかれました。角川、新潮、文春、筑摩はそのまま転用、講談社平凡社あたりは法則化、中央公論、河出は新しく、という感じです。

で、実は集英社はそのまま転用してきたように見えていました(そういうと〈違う〉という意見もあるかもしれませんが)。とりあえず、大きな矛盾はなかったのです。けれども、今回の〈戦争×文学〉につけられたコードは、かつて1970年代に集英社が全88巻で出していた〈日本文学全集〉と同じ番号です。さらに解せないことがわかりました。
というのは、以前このシリーズの佐多稲子集(その全集の第47巻)を買ったときには、〈0395-123047-3041〉というコードがついていました。これだったら〈戦争×文学〉のシリーズと重複しません(真ん中の6桁部分が問題の個所です)。ところが、最近近所の古本屋にこのシリーズが大量に放出されて、安く出ているのですが、高見順の巻(その全集の第65巻)を買ったら、〈0395-157065-3041〉となっていて、6桁部分が〈戦争×文学〉と重複するような番号付けになっているのです。なおかつ、その古本屋で佐多稲子の巻を確認したら、〈0395-157047-3041〉となっているのです。奥付をみると、最初に買った佐多稲子のほうは、〈昭和五十三年十二月二十五日 四版〉となっていて、高見順の〈昭和四十九年二月八日 発行〉の初版とくらべると、重版がかかった状態になっています。重版時にコードをつけなおしたということなのでしょうか。

もともと、コードがついていないものに、当該出版社のほかの刊行物から類推してコードを考えること自体が、観念的な思考実験だといわれたらそれまでなのですけれど。