つながりのあれこれ

『韓流百年の日本語文学』(木村一信・崔在●(吉+吉)編、人文書院、2009年)です。
日韓両国の研究者による論文集で、この100年の日本語文学における、朝鮮半島のイメージなどを、いろいろな角度から追究しています。個々の論文は、問題提起という性格が強く、これをきっかけに研究が進むといいのではと思うようなところもあります。
近代日本が、植民地支配(満洲も含めて)ぬきに語ることができないのは当然ですし、それが今も、政治の問題にもなっているわけです。そのときどきの状況を、文学は文学なりに描き出しているのですし、さまざまな立場から語られることで、全体像が少しずつ見えてくるのでしょう。それだけの広がりをもつものだとわかることも、入門書には必要です。