複雑さ

アメリカ黒人の解放と文学』(新日本選書、1979年)です。
池上日出夫さんをはじめ、アメリカ文学研究者の方たちが、アメリ黒人文学の状況を研究したものをまとめた論文集のようなものです。
ちょうど、読書会で『ロリータ』をやったもので、1950年ころのアメリカ社会と、黒人解放問題とのかかわりを考えてみてもよいのかなとも思ったのです。
ポール・ロブスンが圧力を受けたのも1950年代ですし、ハリウッドの「赤狩り」もこの時代です。『ロリータ』や『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も一方ではこの時期のアメリカの若者の姿(ジェームズ・ディーンもこのくらいの世代でしょう)も描いているわけで、戦後の合州国の複雑さもかんがえたくなります。
また、マルコムXもキング牧師も、ケネディ兄弟もみんな凶弾に倒れたわけで、1960年代のテロ国家ともいえるアメリカの姿も考えずにはいられません。
アメリカという国の難しさを、認識する必要があるのでしょう。