内と外

吉田徹さんの『二大政党制批判論』(光文社新書、2009年)です。
著者は、ヨーロッパの政治学が専門なので、そのような外との比較をしています。また、1975年生まれだというので、今の政治情勢をつくりだすきっかけの、小選挙区制導入のときにはまだ学生生徒だったということで、当時の〈熱狂〉ぶりを距離をおいてみることができます。
そういう意味で、きちんと論拠をあげながら、二大政党制が必ずしもよい制度ではないことを実証したといってよいでしょう。その国の民主主義は、その国の歴史と伝統を考えていかなければいけないという、著者の考察は、それこそ、江戸時代からの共同の歴史をたどることの重要性を感じさせます。
しいていうなら、日本の選挙の供託金の問題を取り上げてくれれば、もっとよかったのですが。