プライド

香山リカさんの『香山リカ的学力論』(フォーラム・A、2009年)です。
お医者さんの立場からのものですので、最近の、〈心を病む〉教師の増加ということも踏まえた論立てになっているようです。
その立場では、医師も教師も、〈代えがきく〉ことが実は大事だというのです。その人でなければできないような職人芸的なことがあったとしても、ずっと相手のめんどうをみることはできないからだというわけです。
たしかに、一定のレベルを保つという前提のうえで、(間違った処方をしたり、うそを教えられたりしたらたまらないですね)どこでも同じような治療をうけたり、教育をうけることは大切です。機会均等ということは保障されなければなりません。
ただ、そのためには、とくに私学にありがちな、「〈代えがきく〉から、もっと安上がりの非常勤に切り替えるだの、若い人にかえるだの」、を口実にした経営者の恣意的な運用を許さないということも必要でしょう。教える側の身分が尊重されないで、子どもたちが尊重されるとは考えられませんから。