眼力

萩原遼さんの『金正日 隠された戦争』(文春文庫、2006年、親本は2004年)です。
萩原さんの北朝鮮研究と、論については、緻密な論証が特色だと思います。
内容に関しては、真偽不明の部分もまだあるので、ひかえておきますが、いつかは、闇の部分も明らかになるのでしょう。

ところで、萩原さんのこの間の研究の最初は、1993年(まだ金日成が生きていた時期ですね)に出た『朝鮮戦争』(文藝春秋)なのですが、この本のもとの研究は、『文化評論』に載ったのです。ところが、1993年の初めごろに、『文化評論』が休刊してしまったので、その後の文章は、単行本の形で世に問われたということになるのでしょうか。最初にみたとき、『文化評論』掲載の論考が文春から出版されるとは、とびっくりした記憶があります。ただし、本のどこにも、『文化評論』に載っていたとは書いてなかったのですが。

もしも、『文化評論』が休刊にならず、萩原さんの論考が、新日本出版社や、大月書店、かもがわ出版あたりから出ていたら、どうなったでしょうか。とも考えてしまいます。