気持ちはわからないでもないのだが

本屋で、岩波書店から出る、『加藤周一自選集』全10巻の、カタログを見ました。今年の9月から、毎月1冊ずつ刊行されるようです。
著者生前からの企画で、収録する文章も、加藤さんの確認を経たものだといいます。それはそれでわかるのですが、加藤さんが亡くなられた今は、あくまでも『全集』を追求すべきではなかったかと思います。
平凡社から著作集全24巻・別冊1(『真面目な冗談』で、これは第1期15巻の付録として、非売品の形で出たものです)が既に出ているので、これをもっている場合は、今回の選集は、どうしてもダブリが出てしまいます。
できる限り完全な『全集』にして、この選集プランは、プランそのものを、加藤さんの意図をあらわした〈著作に準じたもの〉として、参考資料として収録すればいいのです。そのほうが、長い読者にとっては親切なのではないでしょうか。
実際、こういうものをバラで買ってもしかたがないとなれば、1冊3400円(本体価格)のものを、全部買うというのも、なんですし、さて、と思案のしどころかもしれません。

それにしても、最近のカタログは、みんな一枚もので、推薦文も少なくなって(この選集は、鶴見俊輔水村美苗の両氏だけです)いるのは、さみしいですね。むかしは、何ページも使ったカタログが、楽しみだったのですが。